2018年の世界情勢をPlantUMLで図解してみた
新しい概念やよく知らない情報をまとめるときには、図解することが理解の助けとなるケースが多いです。 私自身、これまでも個人的に時々、図にまとめていたりしていたのですが、『ビジネスモデル図鑑』に触発されて、一部公開してみることにします。
図解の方針
情報ソースは、高城未来研究所のメールマガジン『Future Report』から「世界の俯瞰図」。 私は普段、TVやニュースサイトやキュレーションアプリもほぼ見ないのですが1、唯一購読しているメルマガです。 世界情勢の要点のみを最も早く鋭く理解できる(と私は思っている)、このメディアを図解のターゲットにしました。
ただし、このメルマガは有料です。しかも著者の「私見たっぷり」の文章です。 なので、ここに全文記載はしません。ほぼ説明なく、図解だけ載せます。 気になる人は、普通のニュースとかと照らし合わせて見てください。
あんまりゴチャゴチャ書いてもアレなんで、さっそくやってみます。
フランス:イエローベスト運動
燃料税の引き上げをきっかけに、先月11月下旬、約30万人のデモ隊がパリを覆い、一部が暴徒化しました。 大統領官邸(エリゼ宮)周辺で火を放ち、2人が死亡し。数多くの負傷者を出しました。
昨年12月時点の情報です。 きっかけは政治的なデモですが、大規模化に伴い、グローバル企業に対する反対運動、都市と地方の対立といった要素を含むようになっていきました。
いまどうなってるんでしょうか。
ドイツ:ドイツ銀行とマネーロンダリング
特別興味があるわけではないんですが、重要そうなので取り上げます。 2018年11月末時点の情報です。
世界的に株式市場が暴落している現在、不安視されていたドイツ銀行の第3四半期の決算が発表されましたが、7~9月期が2010年以来の最低の収入だったことが判明し、株価は一段と落ち込んでいます。 (中略) このドイツ銀行が「欧州の爆弾」と呼ばれ、一発で吹き飛ぶ可能性があるのは、デリバティブの総額の大きさからです。日本円にして、およそ7,900兆円という巨額な取引量があり、ドイツのGDPのざっと19倍という巨額は、もはやドイツ一国で救える金額ではありません。
よく分からないけど、金額がしゅごいことだけはわかった。
イギリス:EU離脱
離脱に向けての協議で盛り上がっている様子。 11月末時点の情報です。
欧州時間の11月25日日曜日、ブリュッセルで開かれたEU臨時首脳会議で、英離脱の条件などを定めた「離脱協定案」と、離脱後の通商など将来関係の大枠を示す「政治宣言案」のふたつからなる離脱交渉合意案が、正式に合意されました。 これにより、欧州主要メディアは、45年に及んだ「結婚生活」が、ついに「離婚」すると嘆きながら書き立てています。
どうやら英国内でもまだまだもめているようですが、離脱の条件次第では、「どの道を行くにしても、大荒れが予測され」、「世界経済は大混乱するものと思われます」。
クリスマスが1つの山場だった模様ですが、これも結局どうなったのか、追っていないので知りません。
中国:米中新冷戦
10月末時点の情報。
先月10月5日、米国のペンス副大統領が、米シンクタンクのハドソン研究所で、中国を米国の「敵」とハッキリと位置づける演説を行い、物議を醸し出しています。
地理的に日本もどうしても巻き込まれますね。
作図ツールについて
作図ツールは、PlantUML。 簡単なテキストを書くだけで、いい感じに自動的に作図してくれるツールです。 これを、Markdownエディター「Boostnote」で使います。
本来は、システムやソフトウェアを設計する際に使うUMLですが(本業SEの仕事でも日常的に使っています)、 社会や歴史の記述に使ってしまおうという趣旨です。
たとえばイエローベスト運動のソースコード(一部)はこんな感じです。
@startuml frame 391 { package フランス { component 政府 { interface マクロン大統領 card 地球温暖化対策 card エコカー普及 card 燃料税増税 マクロン大統領 ---> 地球温暖化対策:政策 地球温暖化対策 -> エコカー普及 エコカー普及 -> 燃料税増税 } } } @enduml
配置の細かい制御ができないので、たまに矢印が無駄に遠回りすることがあります。 それでも、なるべく線が交差しないように設計されているので、それなりにカタチになります。 情報整理が目的であれば十分かと思います。
図解するうえで重視した(い)点は、正確さよりも簡潔に概要がわかること。
このへんはビジモ図鑑が徹底しています。 ビジモ図鑑にもテンプレートが付いていましたが、あれはキレイでシンプルでとても、とても良いです。
しかし、作業効率ならPlantUMLのほうが上。のはず。 というか、図解対象の違いですかね。
ビジネスとコンテンツを分ける
これは先日、Schooで開催された「ビジネスモデル図解教室」でのチャーリーさんの名言です。 ビジネスモデル図解は、ヒト、モノ、カネ、情報の間の関係性から、ビジネス上の価値を分析したものでした。
一方、私が今回やりたいことは、ビジネスモデルではなく、歴史というコンテンツ内容の図解です。 ヒト、モノ、カネ、情報は登場しますが、あくまで起きた出来事の関係者とその動きのまとめであり、そこに「価値」はありません。
そういう意味では、歴史を時系列的に表現するならば、UMLのシーケンス図がよさそうです。 この辺もまだまだ改善の余地がありますね。
euphoniumize-45th.hatenablog.com

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まとめ
歴史をUMLで表現しようという試みは、実は私なんぞが思いつく前からすでに存在するアイデアです。 forza.cocolog-nifty.com
また、きょんさんの『サピエンス全史』の図解や、読書猿さんも同様の企画を立てていらっしゃるご様子。
実は「UMLで描く日本史」という企画もあってですね。 https://t.co/poN3prqgHs
— 読書猿『問題解決大全』4刷、『アイデア大全』9刷 (@kurubushi_rm) 2018年12月29日
わかりやすいことが知的価値のすべてではありませんが、今後ますます図解が広まっていくように思います。
今回は、それぞれの「事件」のスナップショットを切り取って、構造的に図解してみました。
やってみた感想としては、図解すると理解の弱いところが、すぐ、よくわかります。 本来はひと目でわかる図解が理想ですが、これは理解度を深めて、数をこなさないと鍛えられませんね。
個人的にすごく勉強になったので、また機会を見つけてやりたいところです。