木牛流馬が動かない

知っていれば世の中が違ってみえる小さな発見を探しています。といいつつ単に個人メモだったりもします。中の人は、読書・育児・ライフハックが好物の外資系ITメガネ男子です。

書評『サピエンス全史』1

概要

イスラエル歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏による、人類の歴史の全てを簡潔にまとめた、世界的ベストセラー。

これが超絶面白かったので、シリーズ化して書評を書いていきたいと思います。

(こちら↓は本書に全く関係ありませんが、BGM代わりにどうぞ)

『サピエンス全史』書評

7万年に及ぶ人類の歴史を、 非常にわかりやすい問題提起とそれに対する仮説、さらにその仮説を裏付ける豊富な事例を提示し、 簡潔にとてもわかりやすく提示しています。

このような場合、得てして専門家の豊富な知識によって、素人が反論しにくい論理になってしまいがちです。 しかし本書では、単純化においても、事例や引用においても、著者はなるべく公正な記述を心がけています。

少なくとも私はそう感じます。 なぜかというと、著者がマクロ視点の歴史学者だから。

ここ数年のトレンドや「いま」偉い教授が正しいと言ったことであっても、万年単位でモノを考える職業にとっては、そんなものがすぐ(場合によっては数百年単位で)移り変わっていくものであることを知っているわけです。

例えば、いまや常識となったiPhoneが世に初めて生まれ落ちたのは2007年ですが、たった10年前です。 10年前には、ほとんどの人がスマホなんて持っていなかったというのも、改めて振り返ればものすごい話です。

では、PCは?
電気・ガス・水道・交通などの生活基盤は? 資本主義は? 民主主義は? 科学技術は? 食物は? そして、我々人類はいつから「こう」だった?

ある意味でかなり即物的に、人類がこれまで辿ってきた道筋を描きます。

私は、著者が宗教や政治的イデオロギーなどセンシティブなテーマも、感情的にならずにあくまで冷静に、ただし他人事ではなく、この時代に生きる当事者として歴史を振り返ることを意識していることに、非常に驚きました。 そして、そのために専門外の知識までかなり詳しく網羅していることにも驚きです。

著者のこのスタンスが、ベストセラーの所以かと思います。

『サピエンス全史』の読み方

本書に限りますが、オススメの読み方をご紹介。

世界地図を一緒に見ましょう。

Google Maps(とWikipedia)で充分です。 どこで何が起きたのか、なんてどうせ覚えられないので(少なくとも私は)、 覚えなくてよいので、とりあえず本書で登場する地名を地図を探しましょう。

もしスマホがなくて、紙の本で持ったら何キロでしょうね。そう思えば、現代はほんとにすごい時代だな。

そしてもう一点。
内容は衝撃的な(これまでの自分の常識が覆されてしまうような)ものが多いので、読者によっては気分を害する記述もあるかもしれません。 ですが、そこで感情的になる前に、まず本書における著者の切り口を知ってほしいのです。
著者は本書で、人類に向けて「これまでの、そしてこれからの人類について議論しようぜ」という最高のステージを作りあげました。
無知による誤解をしたまま議論するのはもったいないです。まずは前提知識を揃え、その上で冷静に議論しましょう、ということです。
もし本書を読んで、カッとなったり、苦しかったり、ある意見に偏ってしまったなら(それはそれで大切にしたい感情や意見だと思いますが)、これまでの自分の常識を冷静に疑ってみることが必要なのかもしれません。

人類とは

本書では、若干特殊な用語の使い方を、しています。それぞれしっかり定義されているので心配はありませんが、象徴的なものを紹介すると、こんな感じ。

タイトル通り、サピエンスに焦点をあてた本書ですが、地球に生きるものとして、サピエンス以外の動物についても対等に扱っています。 もちろん記述量のことではなく、生物としての価値に上下などないということです。人間様がどれだけ偉いのか、本書には本当に考えさせられる記述が頻発します。

書評シリーズ構成

書評というか、ほぼ個人的な読書メモになりますが、何回かに分けて書いていきたいと思います。 (おそらく)本書の章構成にある程度沿っていく形になると思います。

『サピエンス全史』目次

  • 第1部 認知革命
    • 唯一生き延びた人類種
    • 虚構が協力を可能にした
    • 狩猟採集民の豊かな暮らし
    • 史上最も危険な種
  • 第2部 農業革命
    • 農耕がもたらした繁栄と悲劇
    • 神話による社会の拡大
    • 書記体系の発明
    • 想像上のヒエラルキーと差別
  • 第3部 人類の統一
    • 統一へ向かう世界
    • 最強の征服者、貨幣
    • グローバル化を進める帝国のビジョン
    • 宗教という超人間的秩序
    • 歴史の必然と謎めいた選択
  • 第4部 科学革命
    • 無知の発見と近代科学の成立
    • 科学と帝国の融合
    • 拡大するパイという資本主義のマジック
    • 産業の推進力
    • 国家と市場経済がもたらした世界平和
    • 文明は人間を幸福にしたのか
    • ホモ・サピエンスの時代へ