木牛流馬が動かない

木牛流馬が動かないのは、魔法かもしれないし、ロックが掛かっているだけかもしれません。いつもの視点をすこしだけ変えて日常をアップデートしていく、そんなきっかけになるノウハウや考え方を紹介していきます。テーマは、ライフハック、育児効率化、人類史、読書メモ、アニメ、音楽など。中の人は、埼玉在住の30台子持ちSE。

別人になる方法(オンライン限定)

前回の続き。 役割ごとのアカウントを作ったとして、どう運用しているかを紹介します。

アカウントをつくる

まずはメールアドレスを作ります。サービスはまぁなんでもいいです。 Googleカレンダーで同期したいなら全てGmailでもいいですし、Yahooメールのセーフティ―アドレス機能も便利ですね。

Yahoo!メールヘルプ - セーフティーアドレスとは

メールアドレスを作ったら、アカウントごとに必要なツール(ソフトウェア)のユーザー登録や、購読しているメルマガなんかを、それぞれのメールアドレスに登録変更。

もしあなたがツイ廃でしたら、ついでにTwitterアカウントも作っちゃいましょう。 各テーマごとのクラスタをフォローすれば、情報収集もしやすいです。

ブラウザ

世間にはブラウザが溢れています。 複数インストールしてブラウザを使い分けると捗ります。 PCとスマホの連携機能があるものがオススメです。

  • メイン:Google Chrome (機能と拡張アプリとUIを総合すると、私はChrome派です)
  • サブアカ1:Firefox (これをやってみて、初めてFirefoxの便利さがわかりました)
  • サブアカ2:Opera (好きなんだけど機能的には今ひとつ)
  • サブアカ3:Brave (スマホとPCの連携機能は今はない。今後実装される?)
  • サブアカ4:Dolphin Browser (スマホのみ)

ブラウザを使い分けるメリットとしては、ブックマークやサイトごとのパスワード管理がしやすいこと。 いちいちメールアドレスを切り替えることが手間なので。

特にブラウザからTwitterを見るなら、これは必須。 ブラウザごとにログイン状態をキープするアカウントを決めることで、ツイートの読み書きが便利になります。 1つのブラウザだけを使っていると、いちいちアカウントを切り替える(ログアウト→ログイン)のが不便なのです。

ただし、私は、最終的には(ローカルでは)1つのパスワードマネージャーを使っています。

ブラウザを切り替えたところで、IPアドレスは変わらないので、そこはご注意を。

クラウドストレージ

アカウントごとの関連ファイルはクラウドストレージへ。 わざわざサービスを分けなくても、1つのサービスだけ使ってフォルダ分けしてもいいと思います。 必要な容量次第ですかね。

  • メイン:Dropbox
  • サブアカ1:Google Drive
  • サブアカ2:Amazon Drive
  • サブアカ3:OneDrive
  • サブアカ4:(使ってない)

複数のサービスを使うなら、全てのフォルダ構成を揃えることをオススメします。 私の基本フォルダ構成は以下。多少アレンジしますが、基本はこれです。

  • プラン
  • 議事録、ログ
  • 外部から入手したファイル
  • 自分作成ファイル
  • ツール

Google Driveアプリはサービス終了の噂がありますので、ご注意を。

Evernote

それぞれ無料版のアカウントを作って、メインアカウントとノートブックの共有をしています。 メインアカウントは「プラス」です。

Wunderlist

やりたいことリストの運用については、前回書いたとおり。

テーマカラーを決める

アカウントごとのテーマカラーを決めています。 私は、アイコンの色が似た系統のツールで揃えています(機能的に問題がなければ)。

  • メイン:navy
  • サブアカ1:green
  • サブアカ2:olive
  • サブアカ3:maroon
  • サブアカ4:yellow

アイコンをつくる

ロゴやアイコンを決めると、雰囲気だけ「それっぽさ」が出ます。 上記のテーマカラーも意識しましょう。 無料で自動生成してくれるサービスがたくさんありますので、好きなものを試してみましょう。 もし画像を使うなら、なるべく著作権に引っかからないようにお気をつけください。

けものフレンズ ロゴジェネレータ

とりあえず本ブログタイトルのロゴを変えてみました。

完成

仕上げに、それぞれのアカウントの名前を決めれば、完成。

ブランディングの作業と言えるのかもしれませんが、やってみると意外と楽しいです。 他人から見たら、全く分かりませんので、これで(インターネット上だけですが)別人格のできあがりです。 あえて言えば、クレジットカードや銀行口座まで使い分けるとよいのでしょうが、いまは特にそこまでの必要性がないのでやってません。

それぞれのアカウントでの活動は、テーマを絞っているので、作業に集中しやすいです。

私の場合はあくまで作業管理のためにやっていることなので、ネット上の発言や人格をアカウントごとに変えるようなことはしていません。 そもそもそんなに器用ではないし。 別にこれでネカマをやりたければやってもいいと思いますよ。

いろいろ書きましたが、最初はサービス・ツールはどれでも良いと思います。 使っていくうちに必要に応じて取捨選択されていきますし、最初は無料版のみを使ってみて、もし容量や機能に不足を感じるようならば、有料版や別サービスに切り替えてもいいと思います。 それだけ、そのアカウントで活動して、なにかを作ったという足跡なので。

私はこれで「やりたいこと」をテーマ別に実行していこうと思っています。 おわり。

ゼロの焦点 カッパ・ノベルス創刊50周年特別版

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二重生活といえば松本清張の傑作は外せないですね

やりたいことリストのすすめ

前回すこし触れましたが、「やりたいことリスト」をつくると捗るよ、というお話。

「何がきみの幸せ?何をして喜ぶ?」

皆それぞれ人生を通して叶えたい夢があると思いますが(規模の大小や期間、実現可能性にかかわらず)、私はこれを「やりたいことリスト」を作って書き込んでいます。名前は、夢リストでもWishリストでもなんでもよいです。

方法は、とにかくやりたいことを書き出すだけ。

きっかけは、上記のブログ記事。 いろいろなところで言われている方法なので、詳しい方法はそちらを参照ください。一応、参考書籍を貼っておきます。

さて、リストを作っているだけでも夢が広がりんぐで楽しいのですが、時間やお金や体力に限りのある人生の中で、なるべく多くの項目を実現していくためには、ある程度計画が必要です。

ほんとうに当然のことなのですが、私は最近ようやく計画の重要性に気付いたのです。仕事では普通にやっていることなのに、プライベートで「自分事として」活かせてなかった。基本、行き当たりばったりなもので。。。

言い訳としては(誰に対して?)子供が少し大きくなってきて育児に余裕が出てきたから、ということもあります。少しだけね。

非常に計画的に物事を進めるタイプの友人とよくツルんでいることも、だいぶ影響ありそう。

私は、やりたいことリストをつくったこととその実行計画を立て始めたことで、基本的な考え方(生き方と呼んでもよいかも)が少しずつ変わってきたと実感しています。 なぜなら、リストに書き出したことは全て、誰に強制されることもない、「これをすべき」ということもない、本当にただ自分が「やりたい」ことばかり。これをやらずして何の人生か、と1

これは私の推測ですが、「やりたいことリスト」をつくることの一番のメリットは、自分の余暇時間をすべてそのために使えるようになる、ということ。言い換えると、リストに書いてないことは、やらない。 何もしないでダラダラしたいなら、それもリストに書けばいいのです。たとえば「毎日何もしない時間を30分もつ」とか。

リストを作っても「家事や育児や仕事をどうすんだ問題」は残りますが、それ以外の空き時間は有効に使えるようになります。

私の現状としては、100個書き出しが完了し (内容は晒しませんよ)、これらをどう効率的にこなしていくかを考えているところです。

以下で、いま私が考えている具体的な方法を書いていきます。実際にこの方法を試していて「やりたいこと」はすでに5個ほど達成しましたので、そこそこ効果はあるんじゃないかと。

私のやりたいことリストの「使い方」

ここからは、リストを作り終わったとしてそのタスクをどう実行していくか、の話になります。100個もあると、簡単なタスクだとしても、実行はなかなか大変なので、なにか工夫しないといけないのです。

私は、やりたいことリストの管理ツールとしてWunderlistを使っています。

Wunderlistは、買収元のmicrosoftの意向によりサービス終了する噂2がありますが、その話はまた別の機会に。

なぜWunderlistを使っているかというと、他ユーザーとの共有機能が便利だから。 共有機能を使うと、こんなことができます。

  • リスト全体を登録ユーザーが閲覧可能
  • リスト項目1つ1つ(タスク)に対して、担当の割り振りができる
  • 共有メンバーがタスクを追加や完了したらプッシュ通知orメールでお知らせ

この機能を、家事・育児のために家庭内で使っている件については、以前書きました。

私はやりたいことリストを実現するために、同じように自分で自分にタスクの担当割り振りをしています。

どういうことかというと、そもそも私のやりたいことは、大まかに以下のテーマに分類できます。

  • 家族・育児・友人関係
  • 読書や歴史関係 →(本ブログはここ)
  • プログラミングやテクノロジー関係
  • 音楽関係

それぞれのテーマごとにWunderlistのサブアカウントを作って、 彼らに(自分ですが)共有機能を使って、タスクを割り振ります。自分で自分に頼んでしまおう、というわけです。

以下、メインアカウントサブアカウントに分けて、それぞれの作業内容を説明していきます。

メインアカウントの作業

メインアカウントがやる内容は、以下の3つだけ。

1)やりたいことを書き出して(タスク登録)、 2)タスクの優先度を決め、 3)実行担当するサブアカウントに割り振る。

いわば企画担当者です。 企画担当者は、ただ「たーのしー!」と思えることを書きまくればよいのです。 実現できるかどうか、どうやるかは、サブアカウント(の自分)が考えればよろしい。

サブアカウントの作業

タスクの実行はすべて、割り振られる側のサブアカウントが担当します。 私の場合は、音楽アカウント、読書アカウント、技術アカウントといった感じで、それぞれのテーマのタスクを実行します。

アカウントを切り替えることで、思考も切り替わるので、それぞれの役割に集中できる気がしています。 仕事を思い出すと分かりやすいですが、同じ人でも、(プロジェクトごとに)役割が変わると作業内容は変わるのと同じイメージ。

ここで、自分からタスクを割り振られてみて初めて気付くんですが、その「やりたいこと」の内容って案外曖昧でふわっとしていることが多いです。

企画者から降りてきた要求仕様が要求仕様になっていないなんてのはよくあることなので(本当に…)、そこはセオリーどおりに要求分析と要件定義から始めます。個々のタスクについての計画立案ということです。

[改訂第2版] [入門+実践]要求を仕様化する技術・表現する技術 -仕様が書けていますか?

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自分のやりたいことを自分だけでやらなくてもよい

この方法のもう一つのメリットとしては、やりたいことのうち必ずしも自分でやらなくてもよい作業が見つかるかもしれないこと。 作業の準備や、下調べだけならば、他の人と(友人とか)にお願いできないか、または他人と協力できるところがないか、考えてみてもよいと思います。 実際私は、サブアカウントのうち2つで、それぞれ知人と協力してプロジェクトを進めています。

一応、この方法のデメリットも挙げておきましょう。

やはりなんといっても、事前準備が必要なこと。 フリーのメールアドレスをつくって、それぞれWunderlistアカウントを作って、リストの共有を設定して、という作業が必要です。最初だけとはいえ、これが結構めんどい。 でも、ここまでやると、各アカウントのアイコンやテーマカラーを決めたりするのは案外楽しいです。

また、結局作業をするのは自分なので、トータルの作業時間が増えるわけではないことも、デメリットではないけど注意が必要です。

今後どうする

自作自演といえばその通りの方法なのですが、頼まれると断れない性格の私にとっては、これは有効な方法だと思っています。 しかし管理工数が増えるのは間違いないので、こんな面倒なことしなくてもガンガン進められる人は、不要な方法です。

今後は、進捗管理と振り返りが必要になると思ってますが、それはまたいずれ。 そのあたりも含めて、いろいろな活動またはライフハックの起点になるのが「やりたいことリスト」だと思います。

まずは夢を書き出してみてくださいませ。


  1. なんか怪しい自己啓発セミナーみたいな文章になっちゃった。。。

  2. http://hokoxjouhou.blog105.fc2.com/blog-entry-874.html

書評『伝える仕事。 - ほぼ日刊イトイ新聞』

「伝える」ことがテーマの対談を読みました。 対談評というほどでもないので、「感じたこと」のメモです。

対談について

ジャパネットたかたの創業者である髙田明さんと、 糸井重里が対談することになりました。 生まれた年も日も近いふたりが、 「ものを売ること」「伝えること」について、 それぞれの考えを語り合います。 自分の売りになることは何か?  アイデアを出すにはどうすればいいのか? 失敗を乗り越えるには? 決して「うまいことを言わない」、 ベーシックでぶれないヒントに満ちた全10回です。

私の仕事は技術職なのですが、常々小難しい技術を分かりやすく伝えたいと苦心しています。

高田社長はもちろんTVでしか知りませんでしたので、惚けたふりをして口がうまい人かと思っていました(失礼)。 対談を読んでみて、その裏にある深い哲学に感嘆することが多く、いい刺激をもらえる対談でした。

私の心の琴線のどこかに触れた言葉

高田
大学生の頃のことですが、 友人と大阪駅で待ち合わせをしました。 ところが彼は1時間経っても来ません。 当時は家の固定電話に、 公衆電話から連絡するしかありませんでした。 電話したら「いま風呂入ってる」と彼は言いました。 「俺は1時間待って、お前が風呂入ってるって、 じゃあここから俺はどうするんだよ」 と電話口で言いましたが、 でも、それ自体がすごい思い出なんです。
糸井
ああ、わかります。
髙田
いまはLINEで解決できることです。 しかし、思い出が残らない。 思い出だけではなく、 進化した道具は、人間の本質的な何かを 奪うのかもしれません。 こういうことを言うとみなさんは、 「じゃあなんでジャパネットはスマホ売ってるんだ」 とおっしゃいます。「これは、必ず、この問題を 解決しなければいけないときが、世界に来ます」 と、ぼくは言うんです。 便利さを追い求めていくと、 問題にぶつかる日が来ます。 そこで「ここは変えなきゃいけないな」という、 知恵を出してきた歴史が、人間にはあります。 「それが来るから、それまではスマホ売ります」 と言っています。
糸井
そうですね(笑)。

第5回 選び直せる時代。

LINE時代の思い出の作り方もあると思いますが、まぁそれは置いといて。

ざっくりまとめると、近年のテクノロジーの進化スピードが速すぎて、人間の進化が追いついていないということですね。そして、このいつか来る「問題」を解決したときこそ、人類がそのテクノロジーに追いついた瞬間になります。

たとえば、インターネット(P2P)による情報のやりとりをよりセキュアかつ高速にするために、暗号技術が進化し、Winnyという「問題」にぶち当たり、ブロックチェーンが登場する、といった流れは記憶に新しいところ、というか現在進行中。

それにしても高田さんの、歴史から営業に戻る頭の切替えの速さよ。

糸井
放っておけば、ふだんって、つまらないものなんです。

第3回 夢がないよ。

自分を放っておかない、ってことかな。おもしろく生きたいですね。 私は「やりたいことリスト100」を作ってますが、これは夢が広がってオススメ。

高田 ぼくの信念であり、いちばん好きな言葉は、 「いまを生きる」です。 いまの瞬間を精一杯生きることで、 ここまでやってきました。 そうしたら、ここにきてなぜか、 あと50年ほど生きられるような気がしてきました。

第4回 おもしろかったな。

この対談の対象年齢は私よりも少し高いようで、50歳が感じることのくだりは私には理解できませんでした。この引用文も「まぁそうなんだろうな」という感じ。

高田
「お客さんがこの商品どう思うか」を感じながら、「いいでしょう」という言葉を出していかないと、ものは売れないです。

第七回 思う。

「感じる」ためには、インプットとなる情報に対して、前提知識を揃えないといけません。同じ時を過ごし、同じ釜の飯を食えば、自然と互いの思考は近づきますが、ここでは赤の他人を相手にどんな情報が必要か、で考えてみます。

モノを売るなら、まずはこの商品がなぜ生まれたのかというスタート地点に、客に立ってもらう必要があります。 こんな商品があればこんな嬉しいことがある。この機能であんな不便だったことが解消できる。

前提条件を揃えるためには、客の頭の中にない知識を入れて理解してもらう必要があります。 提示する情報の取捨選択と「感じてほしい」ことの切り分けが難しいな、と思いますが、そこが営業職の腕の見せ所なのでしょう。

ブログでも、なるべく最小限の前提知識を提示したうえで、自分の「感じた」ことを書くことが求められますね。意識してるつもりではあります、これでも。

高田
作る人たちの考えていることをそのまま出せば、価値は数倍に上がるんじゃないかと思います。

第9回 企業のオリジナリティ。

「良いものさえ作れば売れる」という時代が終わった件。

高田
文字を残すというのは、人生残すことだから。

第9回 企業のオリジナリティ。

言語化が最近の私のテーマなので、どんどん残していきたいと思います。もちろん公開するかどうかは別の話。

糸井
ぼくはいつか、中年のオヤジ同士で ディズニーランドに行って、 「スマホを使わないで、会えたら会う」 という一日をすごしてみたいと思っています。

私もやりたいことリストに追加しておきました。ディズニーじゃなくてもいいけど。

つらつらと「感じた」こと

ちょうど今朝のニュースで以下のようなものがありました。

ニュースの内容には踏み込みませんが、ここで私が引っかかったのが、産経(私が観たのはめざましテレビ)の記事の、失言に対する態度。

野党側から軽率だと批判を浴びそうだ。

政治家が失言したのだからそりゃあ多少は浴びるでしょうが、その前にあなた達はマスコミだろう、と。批判されるべき失言だと思うなら、まず報道機関が先駆けて批判して然るべき立場なのでは、と。

というのが私が「感じた」こと。 (別に産経を下げNHKを上げる気もありません)

さて、これが何なのかというと、ここに本対談『伝える仕事。』が価値を生むための前提条件、つまり日本社会のもつ問題点が見え隠れしているように思えます。 本対談をしっかり「感じる」ために、すこし考えてみましょう。

なぜ対談のお二方がこの対談をしたか?なにを読者に伝えたいと思ったか?と考えたときに、やはり以下の言葉に集約されるのではないかと考えます。

「感じる、思う、考える、行動する。」

「伝える」ことをテーマにしていながら、そのために最も重要なことを個人作業の最たる「感じる」ことに置いているわけです。

あらためて考えてみると「感じる」って結構難しくて、言い換えると、自分で良し悪しを判断する、ということになります。 しかもこの引用文に従うなら、自分が「感じた」ものをどう捉え(思い)、どう論理を組み立て(考え)、そしてどう伝える(行動する)か。これを全て区別しなければならないわけです。

難しいことではありますが、できないことはないはず。これから逃げてしまうと、前提知識を揃えるどころか、「バズる」かどうか、炎上しないかどうか、だけが判断基準になりかねません。

「周りに流されずに、自分でちゃんと感じられてますか?」というメッセージがこの対談に込められている、と私は「感じ」ました。

対談の中では、同じことを別の表現でも言及してます。

糸井
「1位だったら間違いないだろう」と、みんなが1位を買うようになりました。2位は売れないんです。

第2回 素が出すこと。

誰かが良いと言ってたから買う。TV番組のランキングコーナーか、あるいはAmazon価格.comあたりでどこの誰が書いたかわからないレビューを読んで決める。 私も高額でないものなら、よくやってしまいます。 しかし、もし伝えることを仕事にしているなら尚更、自分で商品価値を判断することが求められるというメッセージです。

そうは言っても、みんな「良い」と思ったから買っているのも事実。実際、売れているモノは良いものも多いです。逆に信頼できる人が勧めるものなら何でもいいかというと、当然そんなこともない。この辺のバランスは難しいですね。

この界隈で奮闘しているなんて、営業職の皆さんには頭が下がる思いです。

雑記

たとえば、本を途中まで読んで感じることと、その本を全て読み終わってから感じること、もう一度読み返してみて同じ箇所で感じること。

これらは全て違うものになると思います。少なくとも私は、たいてい違いますし、これがあるから、私は何度も同じ本を読み返したい派です。

本当はどれも記録しておいて大事にしたい感情ですが(実際は時間的にやってられないことも多いです)が、人様に公開するかどうかとなると、やはりその先の「考える」「行動する」まで思考を進めることが必要。

Twitterではだいぶ垂れ流しですが、このブログでは、なるべく「感じた」ことを軸に「考えて」書いていこうと思っています。

(2017/09/05追記)

おしまい。

www.1101.com

(この記事の執筆所要時間: 3h)

読書リスト 2017年夏版

8月も終盤。最近の学校は、この頃から2学期が始まるみたいです。 今回は、『サピエンス全史』記事の反動もあり、いろいろ読み(観)ました。 読んだ順に並べてます。

[小説] 作曲少女 平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話 / 仰木日向, まつだひかり

★★★★☆

こちらを参照。

[ドラマ] ワカコ酒

★★★★☆

美味しいお酒と食べ物が何より大好きな26歳OL村崎ワカコ。ワカコの最高の癒やしは仕事の後に1人であっちこっち美味しく飲み歩くこと。偶然見つけたお店もためらうことなく暖簾をくぐる。食べたい肴とお酒がぴったり合わさった至福の瞬間ワカコの口からぷしゅーと幸せ吐息がこぼれおちる。さて今夜はどこに飲みにいこう♪ (公式HPより)

ドラマ版もアニメ版も観ましたが、酒呑み(私)にとっては素晴らしい作品ですね。

アニメ版のほうが「おひとりさま」向け。 一人で呑んでるモノローグだけなので当然ですが、暗くつぶやくだけ。でも酒と肴の美味しさの表現としては、十分。 これは偏に声優(沢城みゆき)の実力によるものでしょう。私はこちらのほうが好みです。

ドラマ版は、どちらかといえば店にスポットを当てています。 実際の居酒屋でロケをしているので、これはこれで楽しいです。

今回の第3期では、予算がついたのか、それとも誘致があったのか、旅行ロケが多かったですね。 これも悪くはないんですが、個人的には、もっと日常の呑みを観たかったかな。

吉田類の跡を継ぐのは、個人的には、これまで藤原竜也かと思っていたのですが、武田梨奈が一躍トップ候補になりましたね。 TOKIO松岡や博多大吉も見逃せないところ。

[マンガ] 獣の奏者 / 上橋菜穂子, 武本糸会.

★★☆☆☆

精霊の守り人』の著者が原作のマンガ。 Kindleで安かったので1巻だけ読みました。 期待どおりの面白さ。 期待以上ではなかったかな。

獣の奏者(1) (シリウスコミックス)

獣の奏者(1) (シリウスコミックス)

[KU] [エッセイ] 多動日記(一)「健康と平和」-欧州編- / 高城剛

★★☆☆☆

普通の出版社では出せない(断られる)書籍をKindleで出版してしまおうという目的で創設された「未来文庫」。 その第一弾は、著者の旅についての日記風エッセイとなりました。

キンドル大ヒットシリーズ「黒本」に続く、大手出版社から「タイトルも中身も差別的である」という理由から出版を断らた一冊が、電子だけで登場。 大手出版社は「もし、本書を出したいなら、診断書を提出しろ」と高城に迫りました。 果たして、どちらが差別的なのでしょうか。

なぜ、高城剛は旅を続けるのか。 自由は、どこにあるのか。

多動の日々を苦悩する著者の初の旅行日記は、「真実の世界」を描いているのか? それとも「頭のなかだけの出来事」なのか。

地球100周した著者がはじめて語る、非線形の21世紀型旅行スタイル。 現実と非現実が交差する「ポスト真実」時代の旅行記。 紙では出版できなかった、電子ならではの一冊です。

内容は世界情勢や海外旅行に興味がある方は面白いかと。

後日、あらためてレビューする予定。

[マンガ] ちおちゃんの通学路 / 川崎 直孝.

★★☆☆☆

『日常』っぽい。 といえば、お分かり頂けるだろうか。 荒削りながらつい読んでしまう作品。 なんか好き。

[マンガ] 虚構推理 (6) / 城平京×片瀬茶柴

★★★★☆

「虚構」から生まれた怪異「怪人七瀬」を、それを超える「虚構」で上書きする、という異例のミステリーの完結編。

複雑な条件のもと、解決を4つも提示して組み上げていく論理の美しさに、感動です。 (原作読んでいても)

原作小説は、ミステリー大賞受賞とのこと。 おめでとうございます。

書き下ろし続編の発表もあり、まだまだ盛り上がりそうです。 絵柄も好き。

虚構推理(6) (講談社コミックス月刊マガジン)

虚構推理(6) (講談社コミックス月刊マガジン)

[マンガ] 天賀井さんは案外ふつう (4) / 城平京×水野瑛多

★★★☆☆

こらちも完結編。

もうお分かりでしょうが、私が最も好きな作家は、城平京です。 ミステリー作家、マンガ原作者として、数々の作品を発表しています。

ミステリーとしての複雑なロジックが整合していく美しさ、 古今のSFや古典の名作を下敷きにしたストーリー、 動機の哀しさと強く優しい想い、 シュールな舞台設定や作中の小話やギャグ。

本作はコメディタッチの軽めのお話。 今回は浦島太郎がベースです。

[小説] 雨の日も神様と相撲を / 城平京

★★★☆☆

カエルが相撲をとるお話。 もう訳がわからない。 面白いんですが、いささかシュールすぎるので、初心者にはオススメしません。

[実用] タモリさんに学ぶ 話がとぎれない 雑談の技術 / 難波義行

★★☆☆☆

ふと目に止まったので読んでみましたが、著者のタモリ愛は伝わりました。

タモリさんに学ぶ話がとぎれない 雑談の技術

タモリさんに学ぶ話がとぎれない 雑談の技術

[KU] [マンガ] 魔王の始め方 (1) / 小宮利公

★★☆☆☆

魔法理論系の物語が好きなので読んでみました。 『トリニティ・セブン』とか。

表紙から多少お色気はありそうと予想してましたが、まさか第一話からヤりまくりとは思いませんでした。 そしてエスカレートしていく…

かなり端折って分かりやすく例えれば、虚淵っぽいダークさが良いですね。

その割に、意外と魔法の論理はマジメにやってます。

[マンガ] 梅衣堂ひよと旦那様の野望 / 米山シヲ

★★★☆☆

中世ヨーロッパ風の舞台の屋敷に、なぜか2016年のテクノロジーを駆使するメイドがやってくる、というギャグ漫画。 テンポがよく、意外と好き。

[ドキュメンタリー] 山田孝之東京都北区赤羽

★★★☆☆

2014年の作品ですが、Amazon prime videoで観ました。 山田孝之は、役者としてスランプに陥ったときに、あるマンガに感銘を受けます。 そのマンガとは、清野とおる東京都北区赤羽』。 山田は、その作品の舞台である赤羽に移住し、そこの人々と交流していく中で自分を見つめ直す、というドキュメンタリー。 山田孝之は好きな役者ではありますが、彼の迷走感がものすごいです。 心配になって観てしまう感じ。

[www.tv-tokyo.co.jp/akabane/:embed]

[マンガ] からかい上手の高木さん #1〜5

★★★☆☆

照れたら負けの全力青春バトル! いっつもオレをからかってくる隣の席の高木さん。 だけど見ていろ、今日こそは必ず高木さんをからかって恥ずかしがらせてやる!!

いやー、いいですねー! 青春っすねー! 西片くんが「勝つ」日はそう遠くない未来に訪れると思いますが、意図して、となると、何年先になることやら。

[アニメ] 月がきれい

★★★★☆

あらすじ。

川越の中学校に通う小説家志望の安曇小太郎と陸上部の水野茜は、同じクラスになったのをきっかけにお互いを意識しはじめ、ある日、小太郎が茜に告白し、ぎこちない交際がはじまる。少しずつ仲を深めていく二人だったが、茜は父の転勤で千葉の高校に進学することになる。茜は遠距離恋愛になる不安を抱えるが、小太郎は茜との交際を小説に綴り、小説投稿サイトに投稿。それを読んだ茜は小太郎が自分に寄せる強い思いに涙しながら、街を離れる。

こちらも中学生が主人公のアニメ。学校、部活、趣味、地元、家など、好きなことができるようでいて、自分ではどうにもできない制限も多い年頃の恋愛がテーマ。大人から見たら狭い人間関係でも、本人達は必死で将来に向けて生きている様子を丁寧に描いています。
本作の聖地、埼玉県川越市は個人的に関わりのある街ということもあり、その期待もあって見始めました。実際、川越の町並みと祭りの再現度はハンパないです。 音楽にもかなりこだわっており、純文学の引用とポップスの名曲が効果的に使われていて、シーンを盛り上げます。参考までに挿入歌はこちら(Wikipediaより)。すべてアコースティックにアレンジされており、歌は透明感のある声の東山奈央

もうね、感動して涙出るなんて数年ぶりな気がします。とにかくキレイ。絵もストーリーも音楽も。なにより、キャラクターみんなの心が。それでも表面上だけの薄い描写なんて全くなくて、毎回心の奥底に優しく沁み渡る。ここまで純粋に美しい作品にはそうそう出会えません。

[アニメ] サクラクエスト

こちらを参照。

[マンガ] この音とまれ! #15 / アミュー

★★★★☆

珍しく今でも紙で買ってるマンガ。

予選が終わり、全国大会の切符を勝ち取った彼らの、日常とイチャイチャの巻。 彼らいつも頑張っているので、たまにはいいんじゃないでしょうか。 個人的に好きなシーンは、滝浪先生宅への新年のご挨拶です。

楽譜集まで発売されて、いま一番アツい音楽マンガ。

この音とまれ! 15 (ジャンプコミックス)

この音とまれ! 15 (ジャンプコミックス)

[映画] マダム・イン・ニューヨーク

★★★★☆

あらすじはこちら。公式HPより。

インドで夫サティシュと年頃の娘サプナ、幼い息子サガル、そして姑と暮らす主婦シャシは、菓子作りが得意の良妻賢母だが、英語が苦手なことを娘にもバカにされ、コンプレックスを感じている。そんなある日、ニューヨークで暮らす姉マヌから娘ミーラ(シャシにとっての姪)が結婚するのでその準備を手伝って欲しいと連絡が来る。夫の勧めもあって家族に先立ち1人でニューヨークにやって来たシャシだったが、まともに英語を話せないために恥をかいてしまう。激しく落ち込むシャシだったが、たまたま目に入った英会話教室の案内に一念発起し、姉をはじめとする家族にも内緒で英会話教室に通うことにする。様々な国からやって来た仲間たちと英語を学ぶ中でメキメキ上達するシャシに、同じ教室で学ぶフランス人シェフのローランは想いを寄せるようになる。

といったストーリーのインド映画です。
やはりインド映画ということで、まず気になるのが「どのくらい踊るのか?」ということですが、なんと本作ほぼ踊らないです。
そして、普通におもしろくて、驚きます。
そこそこ話題になった『きっとうまくいく』もかなり面白かったのですが、あくまで単発かなと思っていました。しかし本作も観て、インド侮れないと考えを改めました。映画レベルも、英語レベルも、そこそこ歳いってるはずの主演女優の美貌も。

[madame.ayapro.ne.jp/:embed]

[KU] [実用] 脳と瞑想: 最先端脳外科医とタイの瞑想指導者が解き明かす苦しみをなくす脳と心の科学

プラユキ・ナラテボー, 篠浦伸禎.

★★★★☆

僧侶と脳外科医による、瞑想についての対談本。

篠浦 当たり前のことですが、脳をまともに働かせるために一番大事なことは、物事の、あるがままに観た情報を受け取ることが大前提であって、脳を働かせる基本中の基本と言ってもいいでしょうね。

これを読んではっと気付いたんですが、瞑想って「虚構」を外す作業なんじゃないか、ということ。 『サピエンス全史』で触れられているように、世の中には虚構があふれています。あるいは、自らが(意識してても、してなくても)生み出した虚構も。 これらが脳にこびり付いていると、受容感覚器が取り込んだ「現実」についての情報が歪められます。 この虚構が自分の所属する社会(組織)に合うものならば、問題はないかもしれませんが、もし違っているとそれは不幸の素になりえるものです。 仏教は瞑想によってこの歪みを取り除くことを提唱しており、そのゴールは「ありのままに観た情報を受け取ること」。上記引用では「基本中の基本」と言われていますが、たしかにそうなんですが、かつ、同時にゴールそのものではないかと思います。

実はまだ読み終わっていないので、読了後にあらためてレビューしたい。

脳と瞑想 最先端脳外科医とタイの瞑想指導者が解き明かす苦しみをなくす脳と心の科学 (サンガ新書071)

脳と瞑想 最先端脳外科医とタイの瞑想指導者が解き明かす苦しみをなくす脳と心の科学 (サンガ新書071)

[KU] [実用] 1時間でわかるビットコイン入門 ~1円から送る・使う・投資する~

小田 玄紀

★★★☆☆

知人の勧めでビットコインを購入してみたので、勉強。 入門書として分かりやすいです。 ただし、約1年前の出版にもかかわらず、ビットコインの進化と変化が激しすぎるため、すでに古い内容がかなりあります。 たとえば本書では、1BTC(ビットコインの単位)の価格が6万円の想定ですが、2017年8月末現在では約47万円です。8倍。 ブロックチェーンの基本的な技術や仮想通貨・暗号通貨がそもそもどう始まったか、などは普遍的な内容なので、ふむふむと読みました。 今と同じところ、違うところ、を見極める意味でも勉強になりました。

そういえば、『けものフレンズ』再放送も観てます。 おしまい。

イマココ

イマココ

書評『作曲少女 平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話』

『作曲少女 平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話』
仰木日向, まつだひかり
★★★★☆

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

まずはあらすじ

「『ダメだ……全然わかんない……』

1週間前に意気揚々とリサイクルショップで買ってきた1万円のキーボードと、その隣に積み上げられたたくさんの作曲の本。 私は、心の奥からこみ上げる”やってしまった感”を覚えながら、 必死に『いや、そんなことはない!』と思い込もうとしていたー―」

*~*~*~*~*~*~*

「何かやってみたい!」 そんな気軽な動機から作曲をしてみることにした女子高生、"いろは"。 しかし音楽知識はゼロ。何から始めていいのかわからずいきなり挫折しかけた彼女は、クラスメイトの――そして現役の女子高生作曲家でもある"珠美"に作曲を習うことになる。 「14日間で作曲はマスターできる」という珠美のもと、いろはは人生初の挑戦を始めるのだが……。

本書は、物語を読むうちに音楽の仕組みが理解できて曲作りの方法まで身につくライトノベル作曲理論です。曲を作るために、音楽的な知識は一切不要。必要なのは、正しい発想とちょっとしたコツ、そして何より第一歩を踏み出すこと。この本には、そのための考え方やヒントがたくさんつまっています。 さらに、現在作曲に挑戦している人にとっては、普段感じている曲作りの疑問が確信に変わるはずです。

というわけで、タイトル通り、作曲をする少女たちの物語です。 そして、作曲のやりかたを教えてくれます。 このやり方が、本当にすごいんです。

目次

  • 1日目 珠ちゃんと私
  • 2日目 それでも気になる理論の話
  • 3日目 音楽と映画は結構似てるっていう話 -4日目 耳コピの話
  • 5日目 越えられない壁の話
  • 6日目 続く人と、続かない人の話・前編     続く人と、続かない人の話・後編
  • 7日目 最初の壁を越える話
  • 8日目 耳コピ最大の難関の話
  • 9日目 キーの話
  • 10日目 メロディラインと構成の話
  • 11日目 “珠ちゃんビックリ大作戦”の話
  • 12日目 テクスチャーの話
  • 13日目 作曲合宿の話・前編
  • 14日目 作曲合宿の話・後編

(以降、ネタバレありです。ご注意ください)

作曲って難しい?

私は趣味で作曲というか、いわゆるDTMの真似事などしておるのですが、本書のような内容は大変興味があるのです。

で、曲を作るためには、いろいろ勉強しなきゃいけない(と言われている)ことがあります。 音楽理論書は世に掃いて捨てるほど溢れていますし、私自身いろいろ読みました。芸大和声とかね(芸大でもないのに)。

しかしその全てが、どれだけ「初心者向け」「分かりやすい」と謳っていても「作曲なんて小難しくて面倒」という気持ちを拭い去ることはできませんでした。 とにかくヤヤコシイし、本によって言ってることが違うし、実際の曲を分析してみたらサッパリ違うし。

作曲に興味があり実際にやっていた私ですら、こうなのです。 況んや初心者に於いてをや。

そこで満を持して登場が、本書です。

2つの作曲メソッドを紹介し、これさえマスターすれば出来るようになるという、かなり実践的なものです。 その内容はここでは書きませんが、(他の作曲理論に比べれば)とても簡単です。というか、作曲やってれば誰でも当然のようにやることです。

このメソッドは、私も数年前に自分で思いついて試したことがあるのですが、しかしこの2つを作曲メソッドとして持ってきた本を、私は初めて読みました。ある意味、画期的。

確かに、本書の通りにやれば、本当の初心者でも、とりあえず作曲と呼べるスキルは身につくと思います。14日間はキツイかもしれないけど。

作曲をやってみたいという人が目の前に現れたら、私は真っ先に本書を薦めます。とにかく「やってみたい」人向け。

しかし本書では、その2つのメソッドよりも、はるかに重要視していることがあるのです。

なんのために曲を生み出す?

さて、本書では、作曲の方法は教えてくれません。 お前は一体、何を言っているのか?と思うでしょうが、そうなんです。

音楽を作る際には、作曲理論やテクニックよりもはるかに重要なことがあります。

それは、一言でいえば、メッセージ性といえるかもしれません。 もう少し具体的にいうと、自分が何が好きで、これまで何に感動したか、そして、何を作りたいと思ったか。

そこを曲を作る前に、自分自身に深く問いかけ、ハッキリと言語化する。
これこそが、本書の方法の最大の特長となります。

これを初心者キャラクターの「いろは」ちゃんが、読者が陥りやすい迷走にしっかりハマってくれ、珠ちゃんがビシッと軌道修正してくれる(何度も)。このため、要約を知っただけでは意味がないので、ネタバレしてしまいましたが、ここが(理論やテクニックではなく)本当の意味で難しいところでもあります。

音楽理論を数学みたいに捉える理論書や入門書は多いけど、あれは誤解を生みやすいと思うんだ。あたしが音楽で伝えたいのは数式によって計算された何かじゃなくて、『こういうことがあったんだ』『聞いてくれよ、これって最高だよな!』『あたしの大好きなのはこれだ!』っていうことなんだよ。ある固定された式とかじゃない。」
本書「2日目 それでも気になる理論の話」より

なにかしらの創作活動に携わる人ならば、たとえ音楽に関係なくとも、その意欲の根幹を揺さぶられる言葉なのではないでしょうか。

本書では、作曲の話を始める前に、そして最後まで一貫して、しつこいくらい「自分の好きなもの」を問いかけ続けます。 なぜなら、それはものを作る上で本当に大切なことであり、「自分の創作活動」におけるすべての判断基準となる価値観そのものだから。

このことは、ある程度のレベル以上の音楽家であれば皆やっていることなのですが、これを明言した作曲理論の本(しかも初心者向け)は、まずこれまでにないと思います。

このスゴさ、伝わるかなー…

感動と努力とアイデア

とはいえ、本書だけで作曲ができるようになるかというと、ハードルはいくつかあります。

仮に自分の好きなものをハッキリさせることができたとして、それを具体的な作品に落とし込んでいくためには、テクニックやノウハウが必要になります。 世間的にいう「作曲法」は、この部分のことですね。

本書の主人公と読者が最も違うところは、身近に手本を見せてくれるプロあるいは熟練者がいるかどうか。 これはデカイ。本当に。

珠ちゃんのツッコミは的確すぎて、本当に耳が痛い。

あと、本書でもたびたび取り上げられる「努力」の話も忘れてはいけない要素。

努力は夢中に勝てない

というフレーズが痛い。耳が痛いのか、心が痛いのか、もはや涙で濡れてわからないけど。

「音楽は理想を叫ぶから価値があるんだ」 本書「13日目 作曲合宿の話・前編」より

音楽をつくる苦しみとその先にある喜びと、創作とは何かという深淵を探るためのヒントを、しっかりと優しく初心者に教えてくれる良書です。

参考リンク

本書とヤマハがコラボして作曲コンテストが開催されました。

著者(原作)のTwitter。本書の内容に負けず劣らずの刺激的なツイートが多い。

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

お仕事アニメ『サクラクエスト』がアツい件

今回は最近ハマっているアニメ『サクラクエスト』についてご紹介。 ようやく軽い話題が書ける!

(注意: 埼玉の放送枠で書きましたが、関東以外の方にはネタバレかもしれません)

ナニソレ?

まずはあらすじ。

主人公、木春由乃(こはるよしの)は、田舎から上京し短大の卒業を間近に控えた、いわゆる普通の20歳の女の子。 東京には何でもあって、きっと特別な何かになれるのではないかと夢みて、30社以上の面接を受けるも、未だに内定はない。銀行の残高は980円。 このままでは、田舎に帰って普通のおばさんになってしまう・・・と葛藤していたそんなある日、以前、一度だけ働いたことがある派遣事務所から、「地域の町おこしの一環で国王をやってほしい」との依頼がある。 よくわからないが軽い気持ちで依頼先の間野山市に向かうことにした。 一時的に日本中でブームになるも、バブル崩壊に合わせて今ではほとんど見ることの無くなったミニ独立国。間野山市は、今なおミニ独立国を続けている、廃れた残念観光地だった。そんなこんなで、由乃の”普通じゃない”お仕事生活がはじまった。

公式HP

いわゆる町おこしですね。 余所から有名人を呼んで町を盛り上げるという活性化策のつもりが、似た名前の一般人を呼んでしまい、しかもそのまま「国王」として働くことにしてしまった、というお話。

制作したのは「お仕事アニメ」に定評のある、富山のアニメーション会社「P.A.Works」。 『花咲くいろは』がなかなか良かったので本作もチェックしてました。 絵のきれいさもそうですが、やはり一つひとつのストーリーをじっくり描く丁寧さが売りですね。

聖地巡礼も行ってみたい

町おこしとは?

で、主人公は町の観光協会と一緒に町おこしに奮闘するわけですが、予想どおり苦戦の連続です。 伝統工芸品を宣伝したり婚活パーティーを企画したり映画のロケを誘致したりといろいろ試します。 TV局やら有名ミュージシャンを呼ぶ、というのもよくある作戦。けっして悪くはないと思います。

イベントをやれば町に観光客が増えるので、一時的に売上も増えるでしょう。 しかしそれで解決するなら、わざわざ町おこしをテーマにする意味はないわけです。

それぞれのイベントはそれなりに成功するのですが、継続的な観光客や移住者には結びつきません。

「国王」は、町を歩き回りながら、町と住民を知っていき、ある問題にぶち当たります。
それが「地域活性化とは、誰のためにやることか?」ということ。

過疎が始まってメインストリートはシャッター街なのにも関わらず、住民の多くが「今のままで別に困ってないし」という意見だとすると、ただイベントをやって人を呼ぶことに何の意味があるのか? そもそも観光客が集まることを町の住民たちはどう思っているのか?

たとえば本作の映画ロケの回は、TV局から棚ボタ的に落ちてきた話。 エキストラやロケで住民の協力は得られたものの、住民たちはどこか他人事。

これでは何をしても単発のイベントで終わってしまいます。

町の問題点が見えてきた主人公は、町おこしの本当の意味を考え始めます。 さてそれではどうするか、というところまでが、1クール目(13話まで)。

私事ですが

今年、私の両親が定年退職し、故郷の熊本に移住することになっています。 私はずっと東京・埼玉で育ってきたので、実際の地方の現状は知りません。

しかし、両親の移住のため、今後数十年(というか一生)に渡って気にかけていく必要が出てきたのです。 祖父は専業農家ですが、両親は還暦から農業を始めるって、大丈夫なのかな…

そんなときに本作『サクラクエスト』に出会えたことが、私には大きな意味があったと思っています。

実感が湧き始めて、でも考えが整理できてなくて迷っているときの私の悩み

(余談) ゆるキャラについて

私はゆるキャラが好きで、子供にはひこにゃん絵本を買って読ませているくらいなのですが、最近ちょっとゆるキャラが増えすぎですね。 私はキャラクターとしての「ゆるさ」が好きなのであって、観光地にあまり露出されるのは、実はあまり好きくないです。 もちろん地域活性化策のアイコンとしての成功例も多々あるのは知っているので、否定する気はありませんが。

余談ついでにもうひとつ。 個人的にいま一押しアイドルは、ゆるキャラヲタクでもある「寺嶋由芙」こと「ゆっふぃー」です。

ゆるキャラの生みの親、みうらじゅんの番組に、ゆっふぃーも出演しています

祭の復活をめざして

話を戻して、サクラクエスト

2クール目(今期)で、主人公は50年前に無くなってしまった地元の祭を復活させるというプロジェクトを立ち上げます。

ここで重要なのが、住民にとって意味のある祭でなければならない、ということ。 形だけ復活させても、それは映画ロケと変わらないものです。

主人公たちは、祭の起源を調べるため過去の文献や伝承をあたり、失われた祭具を探します。 その過程で、限界集落に口承でしか伝わらない文化をITを駆使してアーカイブしたりというエピソードもあって、これがまた素晴らしかったのですが、いまは置いておいて。

町おこしをやるにあたってなによりキーとなるのが、町の青年会、商工会、観光協会の協力。 実際本作では、毎回のように商工会と観光協会がモメまくってます。

朝ドラ『ひよっこ』でも、東京オリンピックに合わせて主人公の住む町でも聖火リレー大会をやろう、というエピソードがありました。ここでも、企画者の主人公たちと地元青年会とのイザコザがありました。 しかし、結果的に町全体を巻き込むことで、住民達の心を合わせるイベントを開くことができました。

サクラクエストでは、今後そのあたりが描かれることになります。 こうした地元を支える人々がいる、ということに関心が集まることは、地域活性化のひとつの意味かと思います。

ストーリーとしては大方予想できる内容かもしれませんが、それをじっくり丁寧に描くことに大きな価値がある作品です。 個人的には、夕方のNHKで放送するべきと思っています。なぜこれを深夜にやる。 これから後半戦も佳境に差し掛かり、感動必至です。オススメ。

サクラクエスト 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

サクラクエスト 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

Amazon prime videoで第1話から見れます。

人類の未来を垣間見る / 書評『サピエンス全史』(8/8)

これまで8週間に渡って投稿してきた『サピエンス全史』書評シリーズ、今回でようやくラストです。

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの8回目です。 前回はこちら

今回は未来のお話です。 人類に明るい未来は待っているのでしょうか?

www.youtube.com (↑本書に全く関係ありませんが、BGM代わりにどうぞ)

次の人類は?

ジュラシック・パーク』のように、恐竜やマンモスを再生してしまおう、という計画があるらしいです。 更には、なんとネアンデルタール人をも再生するとかしないとか。
両プロジェクトとも続報がなく本気度がイマイチ見えませんが、もしこれが頓挫していたとしても、また同様の計画が持ち上がるのは必然でしょう。我々の生きているうちに実現するかは分かりませんが。

そこでひとつ懸念が。

ホモ・サピエンスを取るに足りない霊長類から世界の支配者に変えた認知革命は、サピエンスの脳の生理機能にとくに目立った変化を必要としなかった。大きさや外形にさえも、格別の変化は不要だった。どうやら、脳の内部構造に小さな変化がいくつかあっただけらしい。したがって、ひょっとすると再びわずかな変化がありさえすれば、第二次認知革命を引き起こして、完全に新しい種類の意識を生み出し、ホモ・サピエンスを何かまったく違うものに変容させることになるかもしれない。 - 『サピエンス全史』

ホモ・サピエンスは、(大型動物のうち)最弱に生まれながら、認知革命によって地球上最強の種の座を手に入れました。

そんなサピエンスは、生物工学や遺伝子工学の技術発達によって、更なる認知革命を意図的に起こすことができるのでしょうか? あるいは、再生に成功したとして、その再生ネアンデルタール人には認知革命が発火することはあるのでしょうか?

ちなみに、著者は続編『Homo Deus: A Brief History of Tomorrow』を昨年出版しています。これは未読ですが、「データ」をテーマに、未来の人類の話が書かれているとのこと。 日本では、先日ようやく翻訳権の獲得のニュースがあったところなので、出版は来年でしょう。楽しみ。 英語がもう少し出来たなら、今すぐにでも読みたいところです。

kaseinoji.hatenablog.com

また、もう少し近い未来(10〜30年後程度)については、本ブログでもたびたび紹介していますが、以下のブログがオススメです。 最新テクノロジーのキャッチアップと未来予測に関しては、専門家でもないなら、こちらのブログだけで十分かと思えるレベル。

高城剛について

最近「多動力」というバズワードがあります。 イーロン・マスクホリエモンなんかがそれを体現する代表的な人物かと。 高城剛は、これを数年前から提唱してきました。

なぜ突然(でもありませんが)高城剛かといえば、本書『サピエンス全史』の未来編に書かれていることは、高城剛メールマガジンで言われていることとほぼ同じような内容だったからです。 そのため、本書の未来関連の内容はなかなか刺激的で十分素晴らしいのですが、個人的にはあまり目新しさはなかったです。

いったい、人類はどこからやってきて、どこにいくのだろうか? かつて、このような答えがないとされる命題は、哲学と呼ばれていた。だが、いまはテクノロジーの仕事なのではないか。近年、すべての人類をDNAから辿ると、アフリカの一人の女性にたどり着くことがわかったように、あらゆる人類史は、もうじき明確にわかるのだろう。 -『多動日記 (1)』高城剛

彼について思うまま書き連ねてみると、最新テクノロジーに詳しく、しかし現代の科学技術だけを盲信せず、世界中の民俗や宗教やストリートやあらゆる価値観を体験し、しかも最新の政治経済情勢はどこのメディアよりも新しく裏の裏まで知り尽くし、なにより自分自身が体験したことでしか物事を語らない、そして人生を楽しみ尽くすことに誰よりも長けている、といった感じ。

これは単なる妄想ですが、仮に人類がどうにか意見を一つにまとめ上げ、その種としての未来を意図的にデザインしたいと思ったとします。 種でなく、国単位くらいでも構いません。 そのとき、そのコンセプトをつく(れ)るのは、私は高城剛しかいないと思うわけです。 彼の仕事は「ビジョン」をつくることであり、これは(今の)政治家ではできませんからね。

なにが言いたいかというと、この混沌の時代に周囲(の生み出す虚構)に惑わされずに自分の実現したい未来を見据えて現実の情報を見極めて計画的にいきましょう、とかそんなことではなく(!)、『サピエンス全史』に未来の話はあまり期待しない方がいい、ってことです。少なくとも私の感想としては。

彼については今後もちょいちょい紹介していきたいです。 メルマガは有料ですが、マジで本当にオススメです。

高城剛は、次の「大きなイベント」は2018年に欧州で起こる、と予言しています。

次の時代のベース

本書は、虚構という新しい視点で歴史を再解釈した名著です。 Amazonビジネス書大賞を受賞するまでもなく、間違いなく現代最高峰の書籍の1つでしょう。

我々が本書から得る知識と洞察と驚きはとても大きいものですが、それでも、読んだだけで満足されては困るのです。
少なくとも我々現代人には、以下のツイートが普通であるような状態が求められます。

本書はあくまでベースであり、知識に過ぎません。 本書を読んだから教養があるわけではないのです。 私も(まだ!)ないので、5000兆円より教養が欲しい。いや、やっぱり5000兆円も欲しい。

もとい。本書は今後の世界を語る上で礎の一つとして扱われる作品になるでしょう。 我々は次の時代を語り、作るときには、これまで見てきたように、先人がそうしたように、歴史に学ぶ必要があります。 さもなければ、今後「新しい虚構」が現れたとき、もしくは「新しい人類」が生まれたときに何が起こるか。

具体的なできごとは分かりませんが、およそ分かりますよね。 私もあなたも、虚構を持ち虚構に生きているのだから。

世に真怪は多くあれど
虚怪もまた多くあり
虚構は虚構に戻れ
嘘から出た怪物は
嘘によって滅びる
- 『虚構推理』城平京

最後に

今回の書評シリーズは、本書のまとめではなくあくまで感想と勉強メモという扱いとしました。 もし本書の要約を知りたい方は(そうじゃない方も)、まずこちら↓を見てみることをオススメします。 著者自らによる解説です。

こちらも必見。

もし興味がわいたなら、ぜひ『サピエンス全史』を読んでみることをオススメします。

さて、これまで駄文にお付き合い頂きありがとうございました。 自分で勝手に始めた短期連載ながら、ここまで大変だとは予想してませんでした。 週刊連載を仕事にしてる人とか本当に頭が下がります。一緒にすんなって感じでしょうけど。

書き始めたきっかけがIT革命だったんですが、今回ほとんど触れられなかったので、そこは今後じっくり。 ただ、あんまり革命と言い続けて共産主義者と思われても困るので(違いますよ)、書き方は考えます。 やはりテクノロジーを軸に置くのがいいのかなー。でも太宰とかにも触れたいなー

次回から通常運営。今後もちょいちょい「虚構」が出てくると思いますが、どうぞよろしく。