木牛流馬が動かない

木牛流馬が動かないのは、魔法かもしれないし、お金かもしれないし、ロックが掛かっているだけかもしれない。いつもの視点をすこしだけ変えて日常をアップデートしていく、そんなきっかけになるノウハウや考え方を紹介していきます。テーマは、ライフハック、育児、読書、歴史、音楽など。中の人は、埼玉の30台子持ちSE。

お仕事アニメ『サクラクエスト』がアツい件

今回は最近ハマっているアニメ『サクラクエスト』についてご紹介。 ようやく軽い話題が書ける!

(注意: 埼玉の放送枠で書きましたが、関東以外の方にはネタバレかもしれません)

ナニソレ?

まずはあらすじ。

主人公、木春由乃(こはるよしの)は、田舎から上京し短大の卒業を間近に控えた、いわゆる普通の20歳の女の子。 東京には何でもあって、きっと特別な何かになれるのではないかと夢みて、30社以上の面接を受けるも、未だに内定はない。銀行の残高は980円。 このままでは、田舎に帰って普通のおばさんになってしまう・・・と葛藤していたそんなある日、以前、一度だけ働いたことがある派遣事務所から、「地域の町おこしの一環で国王をやってほしい」との依頼がある。 よくわからないが軽い気持ちで依頼先の間野山市に向かうことにした。 一時的に日本中でブームになるも、バブル崩壊に合わせて今ではほとんど見ることの無くなったミニ独立国。間野山市は、今なおミニ独立国を続けている、廃れた残念観光地だった。そんなこんなで、由乃の”普通じゃない”お仕事生活がはじまった。

公式HP

いわゆる町おこしですね。 余所から有名人を呼んで町を盛り上げるという活性化策のつもりが、似た名前の一般人を呼んでしまい、しかもそのまま「国王」として働くことにしてしまった、というお話。

制作したのは「お仕事アニメ」に定評のある、富山のアニメーション会社「P.A.Works」。 『花咲くいろは』がなかなか良かったので本作もチェックしてました。 絵のきれいさもそうですが、やはり一つひとつのストーリーをじっくり描く丁寧さが売りですね。

聖地巡礼も行ってみたい

町おこしとは?

で、主人公は町の観光協会と一緒に町おこしに奮闘するわけですが、予想どおり苦戦の連続です。 伝統工芸品を宣伝したり婚活パーティーを企画したり映画のロケを誘致したりといろいろ試します。 TV局やら有名ミュージシャンを呼ぶ、というのもよくある作戦。けっして悪くはないと思います。

イベントをやれば町に観光客が増えるので、一時的に売上も増えるでしょう。 しかしそれで解決するなら、わざわざ町おこしをテーマにする意味はないわけです。

それぞれのイベントはそれなりに成功するのですが、継続的な観光客や移住者には結びつきません。

「国王」は、町を歩き回りながら、町と住民を知っていき、ある問題にぶち当たります。
それが「地域活性化とは、誰のためにやることか?」ということ。

過疎が始まってメインストリートはシャッター街なのにも関わらず、住民の多くが「今のままで別に困ってないし」という意見だとすると、ただイベントをやって人を呼ぶことに何の意味があるのか? そもそも観光客が集まることを町の住民たちはどう思っているのか?

たとえば本作の映画ロケの回は、TV局から棚ボタ的に落ちてきた話。 エキストラやロケで住民の協力は得られたものの、住民たちはどこか他人事。

これでは何をしても単発のイベントで終わってしまいます。

町の問題点が見えてきた主人公は、町おこしの本当の意味を考え始めます。 さてそれではどうするか、というところまでが、1クール目(13話まで)。

私事ですが

今年、私の両親が定年退職し、故郷の熊本に移住することになっています。 私はずっと東京・埼玉で育ってきたので、実際の地方の現状は知りません。

しかし、両親の移住のため、今後数十年(というか一生)に渡って気にかけていく必要が出てきたのです。 祖父は専業農家ですが、両親は還暦から農業を始めるって、大丈夫なのかな…

そんなときに本作『サクラクエスト』に出会えたことが、私には大きな意味があったと思っています。

実感が湧き始めて、でも考えが整理できてなくて迷っているときの私の悩み

(余談) ゆるキャラについて

私はゆるキャラが好きで、子供にはひこにゃん絵本を買って読ませているくらいなのですが、最近ちょっとゆるキャラが増えすぎですね。 私はキャラクターとしての「ゆるさ」が好きなのであって、観光地にあまり露出されるのは、実はあまり好きくないです。 もちろん地域活性化策のアイコンとしての成功例も多々あるのは知っているので、否定する気はありませんが。

余談ついでにもうひとつ。 個人的にいま一押しアイドルは、ゆるキャラヲタクでもある「寺嶋由芙」こと「ゆっふぃー」です。

ゆるキャラの生みの親、みうらじゅんの番組に、ゆっふぃーも出演しています

祭の復活をめざして

話を戻して、サクラクエスト

2クール目(今期)で、主人公は50年前に無くなってしまった地元の祭を復活させるというプロジェクトを立ち上げます。

ここで重要なのが、住民にとって意味のある祭でなければならない、ということ。 形だけ復活させても、それは映画ロケと変わらないものです。

主人公たちは、祭の起源を調べるため過去の文献や伝承をあたり、失われた祭具を探します。 その過程で、限界集落に口承でしか伝わらない文化をITを駆使してアーカイブしたりというエピソードもあって、これがまた素晴らしかったのですが、いまは置いておいて。

町おこしをやるにあたってなによりキーとなるのが、町の青年会、商工会、観光協会の協力。 実際本作では、毎回のように商工会と観光協会がモメまくってます。

朝ドラ『ひよっこ』でも、東京オリンピックに合わせて主人公の住む町でも聖火リレー大会をやろう、というエピソードがありました。ここでも、企画者の主人公たちと地元青年会とのイザコザがありました。 しかし、結果的に町全体を巻き込むことで、住民達の心を合わせるイベントを開くことができました。

サクラクエストでは、今後そのあたりが描かれることになります。 こうした地元を支える人々がいる、ということに関心が集まることは、地域活性化のひとつの意味かと思います。

ストーリーとしては大方予想できる内容かもしれませんが、それをじっくり丁寧に描くことに大きな価値がある作品です。 個人的には、夕方のNHKで放送するべきと思っています。なぜこれを深夜にやる。 これから後半戦も佳境に差し掛かり、感動必至です。オススメ。

サクラクエスト 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

サクラクエスト 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

Amazon prime videoで第1話から見れます。

人類の未来を垣間見る / 書評『サピエンス全史』(8/8)

これまで8週間に渡って投稿してきた『サピエンス全史』書評シリーズ、今回でようやくラストです。

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの8回目です。 前回はこちら

今回は未来のお話です。 人類に明るい未来は待っているのでしょうか?

www.youtube.com (↑本書に全く関係ありませんが、BGM代わりにどうぞ)

次の人類は?

ジュラシック・パーク』のように、恐竜やマンモスを再生してしまおう、という計画があるらしいです。 更には、なんとネアンデルタール人をも再生するとかしないとか。
両プロジェクトとも続報がなく本気度がイマイチ見えませんが、もしこれが頓挫していたとしても、また同様の計画が持ち上がるのは必然でしょう。我々の生きているうちに実現するかは分かりませんが。

そこでひとつ懸念が。

ホモ・サピエンスを取るに足りない霊長類から世界の支配者に変えた認知革命は、サピエンスの脳の生理機能にとくに目立った変化を必要としなかった。大きさや外形にさえも、格別の変化は不要だった。どうやら、脳の内部構造に小さな変化がいくつかあっただけらしい。したがって、ひょっとすると再びわずかな変化がありさえすれば、第二次認知革命を引き起こして、完全に新しい種類の意識を生み出し、ホモ・サピエンスを何かまったく違うものに変容させることになるかもしれない。 - 『サピエンス全史』

ホモ・サピエンスは、(大型動物のうち)最弱に生まれながら、認知革命によって地球上最強の種の座を手に入れました。

そんなサピエンスは、生物工学や遺伝子工学の技術発達によって、更なる認知革命を意図的に起こすことができるのでしょうか? あるいは、再生に成功したとして、その再生ネアンデルタール人には認知革命が発火することはあるのでしょうか?

ちなみに、著者は続編『Homo Deus: A Brief History of Tomorrow』を昨年出版しています。これは未読ですが、「データ」をテーマに、未来の人類の話が書かれているとのこと。 日本では、先日ようやく翻訳権の獲得のニュースがあったところなので、出版は来年でしょう。楽しみ。 英語がもう少し出来たなら、今すぐにでも読みたいところです。

kaseinoji.hatenablog.com

また、もう少し近い未来(10〜30年後程度)については、本ブログでもたびたび紹介していますが、以下のブログがオススメです。 最新テクノロジーのキャッチアップと未来予測に関しては、専門家でもないなら、こちらのブログだけで十分かと思えるレベル。

高城剛について

最近「多動力」というバズワードがあります。 イーロン・マスクホリエモンなんかがそれを体現する代表的な人物かと。 高城剛は、これを数年前から提唱してきました。

なぜ突然(でもありませんが)高城剛かといえば、本書『サピエンス全史』の未来編に書かれていることは、高城剛メールマガジンで言われていることとほぼ同じような内容だったからです。 そのため、本書の未来関連の内容はなかなか刺激的で十分素晴らしいのですが、個人的にはあまり目新しさはなかったです。

いったい、人類はどこからやってきて、どこにいくのだろうか? かつて、このような答えがないとされる命題は、哲学と呼ばれていた。だが、いまはテクノロジーの仕事なのではないか。近年、すべての人類をDNAから辿ると、アフリカの一人の女性にたどり着くことがわかったように、あらゆる人類史は、もうじき明確にわかるのだろう。 -『多動日記 (1)』高城剛

彼について思うまま書き連ねてみると、最新テクノロジーに詳しく、しかし現代の科学技術だけを盲信せず、世界中の民俗や宗教やストリートやあらゆる価値観を体験し、しかも最新の政治経済情勢はどこのメディアよりも新しく裏の裏まで知り尽くし、なにより自分自身が体験したことでしか物事を語らない、そして人生を楽しみ尽くすことに誰よりも長けている、といった感じ。

これは単なる妄想ですが、仮に人類がどうにか意見を一つにまとめ上げ、その種としての未来を意図的にデザインしたいと思ったとします。 種でなく、国単位くらいでも構いません。 そのとき、そのコンセプトをつく(れ)るのは、私は高城剛しかいないと思うわけです。 彼の仕事は「ビジョン」をつくることであり、これは(今の)政治家ではできませんからね。

なにが言いたいかというと、この混沌の時代に周囲(の生み出す虚構)に惑わされずに自分の実現したい未来を見据えて現実の情報を見極めて計画的にいきましょう、とかそんなことではなく(!)、『サピエンス全史』に未来の話はあまり期待しない方がいい、ってことです。少なくとも私の感想としては。

彼については今後もちょいちょい紹介していきたいです。 メルマガは有料ですが、マジで本当にオススメです。

高城剛は、次の「大きなイベント」は2018年に欧州で起こる、と予言しています。

次の時代のベース

本書は、虚構という新しい視点で歴史を再解釈した名著です。 Amazonビジネス書大賞を受賞するまでもなく、間違いなく現代最高峰の書籍の1つでしょう。

我々が本書から得る知識と洞察と驚きはとても大きいものですが、それでも、読んだだけで満足されては困るのです。
少なくとも我々現代人には、以下のツイートが普通であるような状態が求められます。

本書はあくまでベースであり、知識に過ぎません。 本書を読んだから教養があるわけではないのです。 私も(まだ!)ないので、5000兆円より教養が欲しい。いや、やっぱり5000兆円も欲しい。

もとい。本書は今後の世界を語る上で礎の一つとして扱われる作品になるでしょう。 我々は次の時代を語り、作るときには、これまで見てきたように、先人がそうしたように、歴史に学ぶ必要があります。 さもなければ、今後「新しい虚構」が現れたとき、もしくは「新しい人類」が生まれたときに何が起こるか。

具体的なできごとは分かりませんが、およそ分かりますよね。 私もあなたも、虚構を持ち虚構に生きているのだから。

世に真怪は多くあれど
虚怪もまた多くあり
虚構は虚構に戻れ
嘘から出た怪物は
嘘によって滅びる
- 『虚構推理』城平京

最後に

今回の書評シリーズは、本書のまとめではなくあくまで感想と勉強メモという扱いとしました。 もし本書の要約を知りたい方は(そうじゃない方も)、まずこちら↓を見てみることをオススメします。 著者自らによる解説です。

こちらも必見。

もし興味がわいたなら、ぜひ『サピエンス全史』を読んでみることをオススメします。

さて、これまで駄文にお付き合い頂きありがとうございました。 自分で勝手に始めた短期連載ながら、ここまで大変だとは予想してませんでした。 週刊連載を仕事にしてる人とか本当に頭が下がります。一緒にすんなって感じでしょうけど。

書き始めたきっかけがIT革命だったんですが、今回ほとんど触れられなかったので、そこは今後じっくり。 ただ、あんまり革命と言い続けて共産主義者と思われても困るので(違いますよ)、書き方は考えます。 やはりテクノロジーを軸に置くのがいいのかなー。でも太宰とかにも触れたいなー

次回から通常運営。今後もちょいちょい「虚構」が出てくると思いますが、どうぞよろしく。

幸福の歴史を振り返る / 書評『サピエンス全史』(7/8)

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの7回目です。 前回はこちら。  

今回は、歴史は歴史でも、いわゆる「世界史」的な話ではありません。
我々サピエンスにとって、最も重要な概念である「幸福」についてのお話。

(ネタバレありです。未読の方はご注意を)

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産業革命を振り返る / 書評『サピエンス全史』(6/8)

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの6回目です。前回はこちら

今回は産業革命。 本書『サピエンス全史』でいう、第17章、第18章の内容です。いよいよ佳境。 本当に幅広くてまとめるのに難儀したのですが、だいぶバッサリ絞りました。 一応フォローしておくと、これは私の言語能力の問題ですので、本書の内容や表現は(それほど)難しくありません。 これから読もうと思っている方はご安心を。

(ネタバレありです。未読の方はご注意を)

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帝国主義と科学革命を振り返る / 書評『サピエンス全史』(5/8)

今回は帝国主義と科学革命と移動について。

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの5回目です。 前回はこちら

(ネタバレありです。未読の方はご注意を。)

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お金の歴史を振り返る / 書評『サピエンス全史』(4/8)

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの4回目です。 前回はこちら

今回は貨幣とお金の歴史について、『サピエンス全史』をベースに考えてみます。

(ネタバレありです。未読の方はご注意を。)

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農業革命を振り返る / 書評『サピエンス全史』(3/8)

※このエントリーは、書評『サピエンス全史』シリーズの3回目です。 前回はこちら

12,000年前に起きた、狩りから稲作への食料生産革命。 それが農業革命です。

本書『サピエンス全史』でも第2部まるごと使って説明しているほど、現代の我々の生活に影響がありすぎる、超重要イベントです。

(ネタバレありです。未読の方はご注意。)

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