お仕事アニメ『サクラクエスト』がアツい件
今回は最近ハマっているアニメ『サクラクエスト』についてご紹介。 ようやく軽い話題が書ける!
サクラクエスト Vol.1(初回生産限定版) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: Blu-ray
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(注意: 埼玉の放送枠で書きましたが、関東以外の方にはネタバレかもしれません)
ナニソレ?
まずはあらすじ。
主人公、木春由乃(こはるよしの)は、田舎から上京し短大の卒業を間近に控えた、いわゆる普通の20歳の女の子。 東京には何でもあって、きっと特別な何かになれるのではないかと夢みて、30社以上の面接を受けるも、未だに内定はない。銀行の残高は980円。 このままでは、田舎に帰って普通のおばさんになってしまう・・・と葛藤していたそんなある日、以前、一度だけ働いたことがある派遣事務所から、「地域の町おこしの一環で国王をやってほしい」との依頼がある。 よくわからないが軽い気持ちで依頼先の間野山市に向かうことにした。 一時的に日本中でブームになるも、バブル崩壊に合わせて今ではほとんど見ることの無くなったミニ独立国。間野山市は、今なおミニ独立国を続けている、廃れた残念観光地だった。そんなこんなで、由乃の”普通じゃない”お仕事生活がはじまった。
いわゆる町おこしですね。 余所から有名人を呼んで町を盛り上げるという活性化策のつもりが、似た名前の一般人を呼んでしまい、しかもそのまま「国王」として働くことにしてしまった、というお話。
制作したのは「お仕事アニメ」に定評のある、富山のアニメーション会社「P.A.Works」。 『花咲くいろは』がなかなか良かったので本作もチェックしてました。 絵のきれいさもそうですが、やはり一つひとつのストーリーをじっくり描く丁寧さが売りですね。
聖地巡礼も行ってみたい
町おこしとは?
で、主人公は町の観光協会と一緒に町おこしに奮闘するわけですが、予想どおり苦戦の連続です。 伝統工芸品を宣伝したり婚活パーティーを企画したり映画のロケを誘致したりといろいろ試します。 TV局やら有名ミュージシャンを呼ぶ、というのもよくある作戦。けっして悪くはないと思います。
イベントをやれば町に観光客が増えるので、一時的に売上も増えるでしょう。 しかしそれで解決するなら、わざわざ町おこしをテーマにする意味はないわけです。
それぞれのイベントはそれなりに成功するのですが、継続的な観光客や移住者には結びつきません。
「国王」は、町を歩き回りながら、町と住民を知っていき、ある問題にぶち当たります。
それが「地域活性化とは、誰のためにやることか?」ということ。
過疎が始まってメインストリートはシャッター街なのにも関わらず、住民の多くが「今のままで別に困ってないし」という意見だとすると、ただイベントをやって人を呼ぶことに何の意味があるのか? そもそも観光客が集まることを町の住民たちはどう思っているのか?
たとえば本作の映画ロケの回は、TV局から棚ボタ的に落ちてきた話。 エキストラやロケで住民の協力は得られたものの、住民たちはどこか他人事。
これでは何をしても単発のイベントで終わってしまいます。
町の問題点が見えてきた主人公は、町おこしの本当の意味を考え始めます。 さてそれではどうするか、というところまでが、1クール目(13話まで)。
私事ですが
今年、私の両親が定年退職し、故郷の熊本に移住することになっています。 私はずっと東京・埼玉で育ってきたので、実際の地方の現状は知りません。
しかし、両親の移住のため、今後数十年(というか一生)に渡って気にかけていく必要が出てきたのです。 祖父は専業農家ですが、両親は還暦から農業を始めるって、大丈夫なのかな…
そんなときに本作『サクラクエスト』に出会えたことが、私には大きな意味があったと思っています。
実感が湧き始めて、でも考えが整理できてなくて迷っているときの私の悩みバブル期とかさ、何を思ってみんな上京したの?
— ngmrsng (@ngmrsng) 2017年7月19日
親を地元に残して、都会で子供を生んで。
30年後には子供を都会に残して、親の世話をするために故郷に帰り。
その更に30年後には、子供(既にいい歳)に自分の面倒をみさせるために、ほぼ知らない田舎に呼ぶ?
上京ってそういうことだよね?
(余談) ゆるキャラについて
私はゆるキャラが好きで、子供にはひこにゃん絵本を買って読ませているくらいなのですが、最近ちょっとゆるキャラが増えすぎですね。 私はキャラクターとしての「ゆるさ」が好きなのであって、観光地にあまり露出されるのは、実はあまり好きくないです。 もちろん地域活性化策のアイコンとしての成功例も多々あるのは知っているので、否定する気はありませんが。
余談ついでにもうひとつ。 個人的にいま一押しアイドルは、ゆるキャラヲタクでもある「寺嶋由芙」こと「ゆっふぃー」です。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2014/03/19
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祭の復活をめざして
話を戻して、サクラクエスト。
2クール目(今期)で、主人公は50年前に無くなってしまった地元の祭を復活させるというプロジェクトを立ち上げます。
ここで重要なのが、住民にとって意味のある祭でなければならない、ということ。 形だけ復活させても、それは映画ロケと変わらないものです。
主人公たちは、祭の起源を調べるため過去の文献や伝承をあたり、失われた祭具を探します。 その過程で、限界集落に口承でしか伝わらない文化をITを駆使してアーカイブしたりというエピソードもあって、これがまた素晴らしかったのですが、いまは置いておいて。
町おこしをやるにあたってなによりキーとなるのが、町の青年会、商工会、観光協会の協力。 実際本作では、毎回のように商工会と観光協会がモメまくってます。
朝ドラ『ひよっこ』でも、東京オリンピックに合わせて主人公の住む町でも聖火リレー大会をやろう、というエピソードがありました。ここでも、企画者の主人公たちと地元青年会とのイザコザがありました。 しかし、結果的に町全体を巻き込むことで、住民達の心を合わせるイベントを開くことができました。
サクラクエストでは、今後そのあたりが描かれることになります。 こうした地元を支える人々がいる、ということに関心が集まることは、地域活性化のひとつの意味かと思います。
ストーリーとしては大方予想できる内容かもしれませんが、それをじっくり丁寧に描くことに大きな価値がある作品です。 個人的には、夕方のNHKで放送するべきと思っています。なぜこれを深夜にやる。 これから後半戦も佳境に差し掛かり、感動必至です。オススメ。
- 作者: Alexandre S. D. Celibidache,古日向いろは
- 出版社/メーカー: 芳文社
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