木牛流馬が動かない

テクノロジーや気付きによる日常生活のアップデートに焦点をあて、個人と世界が変わる瞬間に何が起きるのかを見極めるブログ。テーマは人類史、芸術文化、便利ツール、育児記録、書評など。

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書評『お金原論』

お金を使う人は、ご一読を。

『お金原論』
泉正人

お金原論

お金原論

Kindle Unlimited

★★★★★

『お金原論』

本書の著者は、泉正人さん。 「お金の教養」を学べる「ファイナンシャル・アカデミー」の発起人で校長です。

お金に関する多くの書籍を執筆・監修されています。 私はこれで3冊目。

本作はその内容の集大成とも言える内容となっています。

タイトル通り、30代社会人がターゲットとなります。

私個人としては、最近ファイナンシャル・プランナーと話す機会が何度かあったもので、お金について考えるマイブームが来ています。 そんなときに、本書をKindle Unlimitedで見つけ、読んでみたわけです。わあ、意識高い!

書評

もう全部重要なことが書いてあるので全部読んでほしいです。 私が読書中にハイライトしたところだけでも、その数149箇所。 ハイライトの閾値が低すぎるだけでは?という指摘は無視して、一部だけピックアップして紹介します。

第1章 お金は信用を見える化したもの

 お金はもはや「通貨」ではない。自分や社会の「真実」を知るための道具だ。「お金」という軸から自分や社会をニュートラルに捉え、結果を受け止めたとき、お金は、真実を知るためのこのうえない道具として、新たな光を放ち始める。

お金は道具。

お金で知ることができる、社会の真実とは。

本書で扱うお金は、ビジネスというよりは生活する上で必要なお金についてがメインです。

「お金」が、紙幣や硬貨という「物質」から、単なる「数値」へ変わってきている。これは、貝殻が紙幣や硬貨へと変貌を遂げたのに匹敵するぐらいの「お金」の歴史的変化といえる。

電子マネーの普及がわかりやすいところですが、今後の社会では、現金を使う頻度は減っていきます。 具体的なイメージがわかない人は、中国の様子をググってもらえればと思います。 ともかく、お金を現金でしか考えていないと、今後の社会でかなり困ることになります。

本書でも触れられていますが、日本社会ではお金について語ることを忌避する風潮があります。 別に大っぴらにする必要はないけど、もう少し普通に話せるようにならないものでしょうかね。

お金とは、「信用を見える化したもの」であり、信用は「お金」によって可視化されるのだ。このことは、「お金」の本質を知るうえで最も重要なポイントとなる。
(中略)
では、「信用」とはいったい何だろうか。

本書では、お金と信用は同じものであると定義します。

お金のコントロールは、信用のコントロール。 お金を増やしたければ、信用を増やすこと。信用が減れば、お金も減る。

本書で扱うのは、生活というか人生で扱うお金であり、宝くじに当たるというようなことは含まれないと考えてよさそうです。 同じお金なのに不思議といえば不思議ですが、「あぶく銭は身につかない」といいますしね。 もちろん私はそんなこと気にしてませんとも(宝くじ、当たれェェ……!!)

私たちが生きる信用経済という社会、では私達の想像以上に、信用とお金が運命共同体として直結している。つまり、お金について向き合うことは「社会における自らの信用と向き合うこと」と同義なのだ。
このことを理解して日々を送り、物事を判断している人としていない人とでは、努力が報われたと感じる度合いも、周りに集まってくる人の質も、結果として手にできるお金の量も、すべてが大きく変わってくる。
もう一度言おう。お金とは、信用を見える化したものだ。そして、社会はすべてが「信用」を中心に回っている。

信用とは、過去の行いの積み重ねです。

他人について「あの人は信用できる」というとき、「あの人」が過去にやってきたのと同じように、今回も(今後も)振る舞ってくれることを期待している、という意味になります。 そして、その期待にしっかり応えることでのみ、「信用」が生まれます。

これを自分に置き換えると、他人からどのような期待をされているか、が自分の信用に相当します。 それを金額で表したものが「収入」というわけです。

これが本書における、お金と信用の定義となります。

当然といえば当然のことなのですが、私は本書を読むまで、なんとなくお金と自分を切り離して考えていました。

「信用」は、自分と社会と結ぶものであるという意識を、なんとなくではなく、はっきり具体的にそういうものだと認識を改める必要がありると実感しました。

第2章 お金はあなたを映す鏡

支出を見るとその人の思考と行動がわかる、ということは前にも述べた。言い換えると、支出を減らすということは、思考や行動を制限するということでもある。

著者は、ある人の一定期間のレシートを見れば、その人の行動だけでなく、性格や思考、およその収入まですべてがわかるといいます。 警察のアリバイ捜査みたいですね。

支出を減らすことで思考や行動が制限される、というくだりは、育児中だから(ということにしておきますが)実感としてよくわかります。 ここ数年、旅行も、映画も、美術館も、ほとんど行けておらず、だんだん視野が狭まっていると感じています。 ふと思ったのですが、デフレってこれが国単位で起きているわけで、だいぶヤバいですね(今更)。

お金を使い、経験を積み、思考と行動を広げる。それも、バブル当時のような自分や生活を見栄で着飾るための消費ではなく、クリエイティブな経験や生活を快適にするためのサービス、自分を磨くための時間に投資をする。こうした積み上げにより、器が広がり、収入が上がり、自分らしいライフスタイルが構築でき、真に豊かな人生へとつながっていく。

お金を使えば見聞きする世界が広がるのは、まぁそんな気はしますね。 私も社会人なりたての頃は、奮発してすこしお高いレストランに行ってみて、少し背伸びした世界を垣間見るなんてしたものです。

お金が自分自身を映す鏡だとすると、お金について考えることは人生について考えることと同義。

少なくとも必要な投資を躊躇うような事態は避けたいですね。

第3章 お金とは何か

お金の歴史や特徴について。 ほとんど、すでに知っている話だったので省略。

お金の機能は知っておくべきでしょう。

euphoniumize-45th.hatenablog.com

第4章 7つの「お金の教養」

教養のある人とは、幅広い知識があることは当然だが、歴史にせよ、政治情勢にせよ、なぜそれが起こったのか、その本質は何なのかを理解し、そこから得たものを自分の生活や社会に還元していける器を備えた人を指す。単なる物知りや博学であることと、教養があることは違うのだ。

生活に役立たない知識でもいいじゃないかー!

いえ、分かってます。「お金の教養」ですよね。

本書では、お金の教養として7つのスキルを定義し、それぞれレベルアップしていくことを推奨しています。 7つとはこちら。

  • 考え方
  • 貯め方
  • 使い方
  • 稼ぎ方
  • 増やし方
  • 維持管理
  • 社会還元

キリがないので、内容は省略。 ここの詳細は本書を読んでくださいませ。

お金を使う際に、毎回「得られるであろう価値」を予測して判断することも当然のことながら、「実際に得られた価値」という結果を判断することも習慣化する。

得られた価値の判断は難しいですね。 判断するとして、何をもって「支払ったお金に見合う価値があった」と言えるのか? だいぶ主観による気もします。

ここで、お金を使った目的を思い出す必要があります。 目的を達したかどうか、達していなくとも近づいたかどうか。 そういう判断をしていく必要があります。

稼ぐ力を上げるために必要な視点は、大きく2つある。1つは、「価値(バリュー)と価格(プライス)を見極める力を磨く」ということ。そしてもう1つは、「自分が好きで得意なところを伸ばす」ということだ。

ここは本書いちばんの真理。 これさえやれば稼げますよ、旦那!

「言うは易し、行うは難し」の典型のような名文です。

稼ぐ力を上げるのに必要なのが、資格取得でもなく、語学の勉強でもなく、なぜ「価値と価格を見極める」ことなのか、といぶかしく思った人もいることだろう。しかし、ここに稼ぐということの本質がある。

言い換えるとgiveとtakeの両方の意味を考えろ、といったところでしょうか。

お金がたくさん入ってくる人がいるということは、どこかにお金をたくさん支払っている人がいるということだ。あなたが収入を得るということは、誰かが必ずお金を支払っているということだ。この原理原則を忘れてはならない。

これは経済のしくみの基礎の話でもありまさが、それよりも、相手の顔が見えること、一人ひとりに人生があることを忘れてはいけない、という意味合いを含むメッセージのように読めますね。

その鍵を握っているのが、日々のルーチンワークや資料の作成といった「時間連動」の仕事から、ディレクションやクリエイティブワークなどの「成果連動」の仕事への脱却だ。

それね。

ルーチンワークはできる限り自動化していますが、成果連動型にコミットするには、もう1つなにか考えなくてはいけないと感じています。

バリューとは? プライスとは? / 所感

例としてビジネスを考えてみます。

お客さんが求めるものを理解し、適切なタイミングで、適切な量(数)と質をもって与えること。

その結果、お客が得るものが、バリュー。 提供側がお客から得るものが対価であり、この大きさを数値化したものが、プライス(価格)です。

バリューを渡し、プライスを得る。プライスを渡し、バリューを得る。

ここまでは、まぁ普通のことです。

著者はこれらを「見極めよ」と、言う。 これらの何を見極めるのでしょうか?

本書によれば、これに5つのステップがあり、消費者からビジネスマン、インフルエンサーまで5段階に分かれます。 価値を創出し、拡散する。

先日紹介した『ビジネスモデル2.0図鑑』でも、優秀なビジネスモデルの共通の特徴として、「八方よし、儲けの仕組み、逆説の構造」が挙げられていました。

この中の「儲けの仕組み」のところに相当します。

個人的には、エンジニアだからかどうか分かりませんが、どうしてもプロダクト創出やサービス構築に目が行ってしまいがちです。たとえ他社のそれであっても。

儲けの仕組みについては、これまで後回しにしていましたが、すこし優先度を上げていこうかと思います。

euphoniumize-45th.hatenablog.com

第5章 お金の教養にはSTAGEがある

繰り返しになるが、お金の教養とは、私がこれまで出会い、時間を共にした多くの経済的、心理的な自由を得た人々から、その価値観や成長の軌跡の共通項を発見してまとめた、普遍的な原理原則だ。そして、長い歳月をかけて、そこに向かうための方法論をロジックとして完成させたのがこの「お金の教養STAGE」という概念フレームワークだ。

STAGEは5段階に分かれており、大多数が「2」に属しています。 私は、STAGE 2と3の間くらいでした。普通。

本書では、STAGE を上げていく方法が書かれています。 より詳しく学びたい人は、冒頭に紹介したファイナンシャル・アカデミーで学べるみたいです。

本書によれば、上のSTAGEに上がると、見える世界が変わるとのことですが、これはそうなってみないと語れませんね。

あなたが今日守った細かな約束事が信用になり、その信用が未来から見た過去として積み上がって大きな人間的信用になり、「お金」という結果として表れてくる──これが信用経済の本質だ。
まずは5年、目の前の信用をコツコツと積み上げていってみよう。たった5年、言動・行動・結果を正し、小さな信用をコツコツと積み重ねるだけで、あなたの信用は、5年後にはとてつもなく大きな人間的信用に育っているだろう。この信用が、あなたの人生のパスポートとなってくれるのだ。

これはいいことを言っている風ですが、いまいちよく分かりませんでした。 5年間まともに働いていれば、多少なりとも年収は上がるんでは??

もっとやさしい本はないの?

『お金原論』は決して難しいことが書かれているわけではありませんが、お金について考える最初の1冊としては、少し重たい気もします。 最後にそれを紹介するのもなんですが、そんな方にはこちら。著者が監修したマンガです。

  • 『誰も教えてくれないお金の話』
  • 『ママと子どもとお金の話』

この2冊は、お金について考える上で必要なエッセンスが盛り込まれたマンガで、とても読みやすいです。 私もここから入ったクチです。

特に『ママと子供の~』ですが、育児についてもかなり参考になることは見逃せません。

子育てにどんな目標を据えるかは、各ご家庭さまざまかと思います。

本書では、子育ての目標として「自立」を挙げ、どうすれば自立できるような力が身につくか、を解説しています。 つーか、なんでママだけなんじゃ…パパも仲間に入れておくれよ…

余談ですが、『ママと子供の~』には、泉正人さんが本人役キャラクターとして描かれていたりします。 どれもオススメです。

誰も教えてくれないお金の話 (Sanctuary books)

誰も教えてくれないお金の話 (Sanctuary books)

ママと子どもとお金の話 (Sanctuary books)

ママと子どもとお金の話 (Sanctuary books)

まとめ

もう本書を国定教科書にして、中学3年生あたりで教えればいいんじゃないかと思います。 少なくとも、子供にもお金について考えるきっかけを与える必要はあるでしょう。 理由は、なぜ著者がKindle Unlimitedに含めたかを考えてみれば自明です。

もちろん、親はやらなくていい、とは言ってません。 むしろ子供以上に学んで、考えなくてはいけないところです。

今回の書評は、重要そうなハイライトを紹介する形にしました。 これには理由があります。

お金について考えようとすると、どうしても非常に具体的で個人的な話が多くなります。 本書を読みながら、そのようなメモは大量に残したのですが、さすがにこれは公開できません。 私の力では、名言を集めることしか、できなかったのです。

書評という形で具体的にお伝えするのは難しいのですが、もしそれを読みたいという方は、ご自身でお金について考えて、それをメモしてみてください。 そして今、お金の教養STAGEのどこに位置していて、どこを目指すのか、を自覚してみてください。

それが収入を上げて、豊かな人生を築くための第一歩となると信じます。

お金原論

お金原論